物語(ストーリー)の創り方

初めに

初めましての方は初めまして。ソフトメディア研究会プログラム班所属、1回生の小鳥遊銀(HN)です。 この度、ネットワーク管理主催の本企画、2018年SofmeAdventCalendarの12月4日を担当させていただくことになりました。

ここでは『物語(ストーリー)の創り方』をテーマに、語っていきたいと思います。 語ることは主に以下の通りです。

  • 自己分析
  • ジャンルの決定
  • 妄想だけで物語は創れない

これらは主に物語を創る下準備の工程となります。「え、なんなんそれだけ?」とお思いになる方がいるかも知れませんが、私はこれらが物語を創っていく中で基盤・基本となる重要な作業であると考えているので、今回この記事の内容にすることにしました。しかしこの記事に私の知る全てを記すことは出来ないので、その概要の説明となることをお許しください。 ですが、最後の『妄想だけで物語は創れない』は、物語を創る上で最も初歩的かつ常識的な知識でありながらほとんどの新人作家が実践していない事柄について語った内容となっており、これから物語を創ってみたいという方がいれば特に見ていただきたいです。 それでは早速始めたいと思います。

自己分析

この『自己分析』は、物語作製が初心者の方であれば絶対にやっていただきたい事の1つです。 といってもやることは簡単です。ただ自分の好みを明確にするだけです。 まず好きな小説、漫画、映画、ドラマ、アニメを自由に5~10個挙げてください。ただし一過性の好みではなく、強い影響を受けた作品を選んでください。 次に、出揃った作品を客観的に分析しましょう。例えば、「〇〇は一人称視点」「〇〇は一人称視点+三人称視点」「〇〇は主人公が長広舌の日常+SF(少し不思議)で、誰も死なない」「〇〇は映画のようなスケールで人の死も描かれるSF」「〇〇は日本を舞台にした暗い雰囲気の伝奇小説で人の死も描かれる」等々。 この場合ですと、好みの作品が2種類に分けられると考えられます。

  1. 主人公が長々と脳内思考を垂れ流しているうちに非日常な出来事に巻き込まれる
  2. 圧倒的なスケールの物語を緻密に描いた作品

自己分析で好みの傾向を明確にできたでしょうか? これで、作品と作風の原点が定まりました。書き手として、原点となる作品をはっきりさせておくことで方向性を見失いそうになった時にはそれが役立ってくれます。 逆に、物語の作製において、はっきりさせておくことを怠ると、多くのケースで失敗します。これは『自己分析』だけでなく、物語の作製に関わるほとんど全ての工程に当てはまることなので注意しましょう。

ジャンルの決定

どんな物語にもジャンルとなるものが存在し、ジャンル分けは物語の方向性を決定する上でも大事になってくるのでおろそかにしないようにしましょう。 ジャンル分けは作品の特徴の一部をとらえて分類しているにすぎないので、いくらでも細かく分類できます。参考までに有名なものを取り上げてみると、以下のようなものがあります。

  • ファンタジー
  • SF
  • 恋愛
  • 青春
  • コメディ
  • ギャグ
  • 推理
  • ホラー
  • アクション
  • バトル

「ラブコメ」であれば「恋愛」+「コメディ」のようにジャンルの足し算も可能です。同じ「ファンタジー」でも「青春」と組み合わせるか「バトル」と組み合わせるかにより、「ファンタジー風味の青春物語」にも「異世界魔法バトル」にも成り得ます。このように、組み合わせ次第でいくらでも新しいジャンルが生まれます。 各ジャンルの細かい定義については、ここで語ることは難しいので割愛します。

しかしどれを書いていいか分からないという方もいるかもしれません。 そういった時は、書きたいものを書くのが一番だと、私は考えます。 が、長く書いていると人気を勝ち取るためにはジャンルが限られているように思えてしまったり、例えば小説の新人賞にて「ファンタジー」のジャンルでしか受け付けていない場合もあります。 人気ジャンル(募集ジャンル)で書くか。自分の書きたいジャンルで人気を取れるように工夫するか。自分の書きたいものを書くだけなら何でも好きなように書けますし、完結するまでの文字数も自由です。 しかし多くの他人に喜んでもらえる物語を創るには、以下どちらかを選ぶのがオススメです。

  1. 自分がどのような物語を創りたいかを考えると、自動的にジャンルが決まる
  2. どんなジャンルだと読者を楽しませることが出来るかを考えてから具体的な内容を決める

ですがこの2つは創るためのきっかけに過ぎませんので、どちらが正しいということはありません。 よく考えた上で自分が書きたい、うまく書ける、読者に喜んでもらえる、と思ったジャンルの物語を創ってみましょう。

妄想だけで物語は創れない

さて、これで最後の項目となりましたが、実はこの項目は上の2つよりも長く、そして重要な内容となっています。 まず『妄想だけで物語を創れない』の全容を語る前に、昔話にお付き合いください。


小学校の授業中に退屈と共に抱いた、突如学校を襲撃するテロリストから単身立ち向かう妄想。自身が英雄となり、友人たちから称えられる妄想。衝撃的な作品に出合った衝動から生まれるそれに似通った妄想。私が物語を創り始めた起源なんて、そんなものです。 小学生の頃の私はそんな妄想を形にしようと自由帳に漫画を描いていました。しかし、いちいちイラストを描くことが面倒なので、すぐに飽きてしまいました。そもそも自由帳程度であればそれを目にするのはせいぜい友人や家族程度。それでは物語を創ったとしても意味がない。 次に何かしらから衝動を受けた私は、「イラストが面倒なら文字だけで良いではないか」と小説を書き始めました。幸い私は小学校の授業中によく1人で本を読みながら妄想の世界に浸っていた経緯もあって、文字を読むことも書くことも苦に感じることはありませんでした。 さらに調べればネット上に小説を投稿し、他人に見てもらうサイトがあるということなので、私は早速ネット小説の世界に足を踏み入れました。(ネット小説の世界では異世界転生ものしか読まれることはないのですぐにやめました)

しかしだからこそ、小説を書き始めた私はその時点で挫折しました。 いざ物語をきちんと書こうとしても最後まで書けない。かならずどこかで詰まってしまう。 ……これはきっと、きちんと順序正しい物語を創ろうとしたことがある方なら、一度は遭遇するでしょう。ドラマ、映画、小説、アニメを見て「こんな物語を綴ってみたい」と思い立ったものは良いものの、細かい展開まで書くことができない。書けたとしてもどこかで見たことのあるような、自分が感銘を受けた作品の展開とまったく似ているケースが多々あることでしょう。 私はその原因と解決に思慮を巡らせました。その結果から言えば、それはただの妄想に留まっているということです。

確かに物語の根元の多くは人間の妄想や欲望です。しかしそれだけでは物語(ストーリー)は成立し得ない。 物語を創るということは、一つの世界・宇宙を創造することを意味します。それを一人の人間が抱いた妄想程度の情報量で成立させようというのが間違いなのです。 現実を舞台にした物語ならともかく、異世界を舞台にした物語であれば、その宇宙の法則、文化、歴史、思想、宗教、政治、経済等々諸々の情報を一から構築しなければいけないので、本当であれば苦労を要するものなのです。しかし、世界に関する全ての情報を記すこともまた不可能。が、短編を創るとしてもある程度の情報は必要です。長編であれば尚更。でなければ必ず物語を創っていく中で矛盾が生じてしまう。 つまり必要なものは『物語の世界の情報を確かなものにする』ということです。それは世界や社会などの環境に関わるもの、登場人物の生から死までの人生、数えるときりがありません。しかしこれらは物語を創っていく上である程度変更する箇所も出てくるので絶対ではありません。必要があれば変更も可能です。ただしその変更が物語にどの影響が出るのかも、考えなければいけませんが。

ただこれは沢山のプロの作家さんから直接お聞きしたことでもあるのですが、「物語はフィクションであっても、リアリティーを追及しなければエンターテインメントと呼ぶことはできない」と仰る方が本当に多いです。 きっとあなたの好きな作品にも、どんな奇怪な物語にもリアリティーが潜んでいると私は考えています。


さて、ここまでの事を理解していただければ、世間から罵倒されるような駄作を作ることはおそらくないでしょう。 しかしこれだけの情報で物語を創ろうとしても失敗に終わるでしょう(よほどの天才でなければ)。この記事の内容は妄想するのではなく、物語(ストーリー)の創造において入口に立ったまでに過ぎません。さながら一から十までの数字を覚えた小学一年生、あるいは銃が人を殺める道具であることを知った少年兵のよう。我々からすれば、それは言葉にすることも面倒に思える当然と常識の知識。 私は幼稚園の頃に妄想し、小学高学年の授業中に物語を読み書きし、中学三年の冬に世界を創り始めました。そして高校三年間の時間を費やして私は私なりの物語の作製方法を体系化しました。ここでそれを伝えることは出来ませんが、2019年の春に開く「ストーリー・シナリオ講座」にてその概要を説明します。可能であればソフトメディア研究会のサイトに資料も載せたいとも考えています。

以上で、2018年ソフトメディア研究会企画「SofmeAdventCalendar」、12月4日担当小鳥遊銀の『物語(ストーリー)の創り方』を終わらせていただきます。 如何せん考え無しに書き綴ったものなので、支離滅裂、まとまりも取り留めのない内容になってしまったこと深くお詫び申し上げます。

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